プランジャーの戻し方
今回は、ソレノイドを実際に使ってみるまで意外と分からない、ソレノイドの復帰のさせ方についてです。
ソレノイドの仕組み
まず、ソレノイドは、電気を流すとプランジャーと呼ばれる可動鉄心を本体に引き込む動作を行う、電磁石の原理を応用した電気部品です。
少し詳しく説明すると、ソレノイドのコイルに電気を流すと、電気を流している間は本体内部にある固定鉄心が磁化されます。磁化された固定鉄心は、磁石のようにふるまうので、図1のようにプランジャーを吸着しようと引き寄せます。
ソレノイドのコイルに電気を流すのをやめると、固定鉄心の磁力はなくなりプランジャーは開放されます。
これがソレノイドの仕組みです。
図1.ソレノイドの動作の仕組み
ソレノイドの復帰
では、早速ソレノイドの復帰のさせ方についてですが、復帰させるためには機械的・物理的に鉄心を元の位置に戻す仕組みが必要です。
電気的に元の位置には戻せません。(例外なものもありますが…)
なぜ、電気的にプランジャーを復帰させられないのか、先ほど説明したようにソレノイドに電気を流すことで、固定鉄心が磁化されてプランジャーを吸着し動作します。
この時、電気を流す方向を逆向きにすれば、プランジャーは固定鉄心と反発して復帰する…わけではなく、これもまた固定鉄心はプランジャーを吸着します。
固定鉄心もプランジャーも鉄なので、もともと磁極の向きが一定ではありません。
ソレノイドのコイルに通電をすると、電磁石の原理で固定鉄心が磁化され、磁極の向きが一定になりプランジャーを引き寄せ、プランジャーの磁極の向きは固定鉄心の磁極に向きに合わせて一定の向きになります。
したがって、電気を流す方向を逆向きにしても、固定鉄心の磁極の向きが逆になり、それに合わせてプランジャーの磁極の向きも変わるので電気的に復帰させることができません。
そのため、ソレノイドを使う時に電気を流して吸引動作を行った後に、電流の向きを吸引させた時と逆方向にしても、鉄心同士が反発して元の位置に戻るというようなことはありません。
では、どうしたら可動鉄心が元の位置に戻るの?という話ですが、可動鉄心を元の位置に戻すためには、何かしら外部から力をかけてあげないといけません。
一例として、バネを使って元の位置に戻るようにするというのが挙げられます。
始めに、ソレノイドは通電するとコイルが2つの鉄心を磁化することで動作すると説明しましたが、通電していない時に鉄心はどうなっているかというと、ただの鉄の塊として本体にただ入っているだけです。
ただ入っているだけなので、ソレノイドを逆さまにすると鉄心はスポッと抜けます。
このように、通電していない時は鉄心には力が何も加わっていないので、図2のようにバネなどで元の位置に戻る方向に力を加えてあげて初めて復帰動作を行います。
今挙げた例は、鉄心にバネを取り付けたものですが、他にもソレノイドではなく負荷側にバネを取り付けたり、吊り下がっている負荷を引き上げるような使い方で負荷の自重で可動鉄心が元の位置に戻ったり、などといったソレノイドの復帰方法が考えられます。
以上の手法は、ただの一例なので是非いろいろなソレノイドの使い方をしてみてください。