使用定格表って? 通電率って何? 吸引力特性グラフはどの線をみればいいの?
今回は、ソレノイドを実際に使ってみるまで意外と分からない、ソレノイドの復帰のさせ方についてで
みなさんソレノイドを探していて、気になるソレノイドがあった時には、製品ページを見ていると思います。
製品ページには、外形図や仕様定格、吸引力特性グラフが載っていて、ソレノイド選定に必要な情報がたくさんあります。
しかし、ソレノイドを選定したくて製品ページを見ているけど、使用定格表って?吸引力特性グラフはどの線を見ればいいの?って方意外と多いのではないでしょうか。 今回は、使用定格表と吸引力特性グラフの意味や見方について改めて話そうと思います
〇 使用定格表って?
まず早速、使用定格表について説明します。
製品ページには、下図のような使用定格表がすべての機種に載っています。
使用定格表には、ソレノイドの品番と抵抗値が5種類、そして通電率が載っています。
ソレノイドは、印加する電圧が同じでも抵抗値によって通電率が変わってきます。
例えば、DC24Vの電源を使う場合、9ΩのCA08370090では通電率が6%、144ΩのCA08371440では通電率が連続通電(100%)という風に抵抗値毎に通電率が5パターンあります。
同じように表を読むとDC12Vの場合には、9Ωと14Ω、36Ωの3パターンとなります。
このように、使用定格表からは、抵抗値の種類や各電圧での通電率を読み取ることができます。
〇 そもそも通電率って何?
次に前項に出てきた通電率というものについて説明します。
通電率とは、ON/OFFのサイクルにおけるON時間の割合を指します。
ソレノイドは通電を行うと発熱していくのですが、発熱しすぎると焼損などの故障を引き起こしてしまいます。
発熱による故障を防ぐには、通電後にクールタイムを設ける必要があるため、各ソレノイドには通電率が設定してあります。
この通電率ですが、通電率が低いもの程通電による発熱が激しく、通電率が大きいもの程緩やかに発熱していきます。
また、通電率は以下の式によって求めることができます。
製品を選ぶ際には、どの程度の動作サイクルで使用するのかを考慮し、そのサイクルでは通電率がどのくらいなのかを求めます。
その上で、求めた通電率を許容できるソレノイドを選んでいきます。
具体例をあげて、通電率まで求めてみます。
では、ソレノイドを2秒間動作させて8秒間OFFにするという動作をさせたいとします。
この場合の通電率は上の式に当てはめると、
となり通電率は20%と求められます。
よってこの場合、ソレノイドを選ぶ際には通電率が20%以上のものから選びます。
ここで通電率が10%や6%と求めた通電率より下回るものを選んでしまうとソレノイドが故障してしまうのでお気を付けください。
〇 吸引力特性グラフはどの線見ればいいの?
今回最後の内容として、吸引力特性のグラフの見方についてお話します。
各ソレノイドの吸引力特性のグラフには、曲線が複数本あります。
これは、通電率によって吸引力が異なるからです。
通電率によって異なるものなので、使用するソレノイドの通電率の曲線を参照することで、そのソレノイドの吸引力を読み取ることができます。
通電率の話の際に、通電率が低いと発熱が激しく、通電率が高いもの程発熱が緩やかだと説明しました。
これはソレノイドの消費電力が影響していて、通電率の低いものは消費電力が大きく、通電率の高いものは消費電力が低くなっているためです。
また、ソレノイドの吸引力は消費電力にほぼ比例します。
つまり、形が全く同じソレノイドでも通電率が低い(消費電力が大きい)もの程吸引力が強く、通電率が高い(消費電力が小さい)もの程吸引力が低くなります。
そのため、形が同じソレノイドでも吸引力の曲線が複数本あるのです。
〇 おまけ
これまでお話した内容を踏まえて、実際にソレノイドの選定を行ってみようと思います。
条件は以下の通りとします。
また、今回はソレノイドのサイズは指定なしとします。
電源:DC24V
ON時間:4秒
OFF時間:12秒
ストローク:3mm
要求吸引力:8N
まず、今回の条件での通電率を求めます。
通電率は25%となりました。
通電率25%で、ストローク3mm/吸引力8Nを満たせそうなソレノイドを探してみると、 CA10290410(41Ω)が条件を満たせそうです
〇 最後に
今回は、ソレノイドの製品ページに載っている使用定格表と吸引力特性のグラフについて、書いてみました。
これを読んで、少しでもソレノイドの選定のお役に立てたなら、うれしく思います。
もし、ソレノイドの選定のこと以外でも不明点など何か気になることがございましたら、お気軽にお問合せください。